「やばい、おわんねぇ・・・」 「あはは、流石にこの量はきついね。この量をいつも朱里ちゃんと紫苑さんで済ませていたなんて、凄いなぁ」 今日も今日とて内政の日々。だが今日はいつもと事情が違った 黄巾の残党と袁紹軍の逃亡兵がこの幽州に集まってきているという動きがあるのだ 皆が言うにはこの国は内政に力を入れているので他所よりも民が豊かである、という理由で狙われてしまったらしい 無論、そんなことを許す訳ないので即座に鎮圧の為の兵を出した しかしここで問題が発生 先日の演習で翠と鈴々が軽症とはいえ負傷してしまったので戦いに出す訳にはいかない 華雄も精神的衝撃で寝込んでおり、恋も行方不明(夜には帰ってきた)とあって愛紗、星、紫苑、朱里が出陣していった その結果数日とはいえ内政要員がいなくなってしまったのだ ご主人様権限で詠に手伝って貰ってはいるがあまり表には出せない為ほとんどがこっちに回ってくる 書類に埋もれた惨状を見かねて伯珪が手伝ってくれたものの、全体から見るとようやく氷山の一角を解消したところか 「やはり戦いは数だよな伯珪」 「でも翠さんなら兎も角鈴々ちゃんや恋さんには無理じゃないかな?」 「う〜〜、あの2人には無理だし、以外に翠もこういった事は苦手だからな。これ以上詠に任せるのも無理だし」 「そうだよね・・・みんな早く帰ってきてくれないかなぁ・・・」 そうぼやきながらも腕を止めない伯珪。流石に元一国の領主だけあってこういったことは慣れているようだ。ぶっちゃけ俺より処理早いし 「愛紗達が帰ってくるのは早くて20日後だろうな。規模はまあ、それなりだが距離がな・・・」 それから数日・・・・・・ 「う、あぁ、ほ、北郷、も、もう、だめぇ・・・」 「ちょ、しっかりしろ伯珪!後やばい声出すな、そっちも色々とまずいって!」 書類の山は山脈を築いている。あまりの事に月も詠も少しは手伝ってくれているが焼け石に水 翠と鈴々と恋は、まあ予想通りというべきか・・・仕事を増やしてくださいました 「だ、だってぇ、もう三日間徹夜なんだよ?だるいし眠いし・・・あぅぅ〜」 「辛いなら先に休んでいいって言ってるだろ!だから頼むからその声と表情はやめてくれーー!!」 さっき机に勢い良く倒れこんで赤くなっている顔、隈は見えるがそれを無視しうる破壊力を持つ潤んだ瞳、疲労によりとろんとした表情 さらに荒い呼吸に行き絶え絶えな声。いろんな意味でヤヴァイ。主に息子が 「うぅ、ごめん北郷。どうやらここまでのよう・・・・・・」 「伯珪ー!!」 倒れた伯珪を俺のベットに運ぶ。君のお陰で大分楽だったよ、ほんとにありがとう。今は安らかに・・・・・・ 「・・・・・・何をしているんだ主殿?」 「ん?ああ、華雄。もう大丈夫なのか?」 「う・・・大丈夫だ、二度とあのような遅れは取らん」 照れながらも気丈に返すその姿にマイサンは暴走寸前。・・・あかん、俺もやばいかもしれん 「それにしても凄い書類だな・・・・・・ふむ、私にも出来そうなのはあるな、少し手伝わせて貰うぞ?」 「え?ああ、出来るなら頼む。もうネコの手も借りたいぐらいの忙しさなんだ」 「承知した。しかし、ネコに頼むのはダメだ。どうせならセキトに頼むといい」 「・・・・・・頼んだことあるのか?」 「・・・・・・恋より役には立ったな・・・・・・」 「・・・・・・続けよっか・・・」 「・・・そうだな」 一体何をしたんだセキトー! その後復活した伯珪も加わり一気に片付いた。やはり戦争は数だね 「ふいー、これで一段落か」 「そうだな、お疲れさん」 「ありがと。あ〜〜!体が痛いぜ。休むのは少し動いてからにするか」 「私も部屋に戻って休むよ。ここのベットは占領されてるし」 「zzz」 予想外の活躍を見せてくれた華雄は「私に出来ることはもうないな」といって俺のベットで先に寝ている 「・・・俺どこで寝りゃいいんだ」 「はは、いっそ一所に寝たらどうだ?」 「いや、それは流石にまずい。特に今は」 「そっか。なら私のとこに来るか?」 「へ?」 「あはは、冗談だって、冗談」 「だよな、びっくりしたぞ。さて、それじゃ少し散歩してくるわ」 「ああ、途中で倒れるなよ〜」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「・・・・・・冗談なんて言わなきゃよかったかもorz」 「は〜、太陽が眩しいぜ!」 久しぶりの日光を浴びた気分は吸血鬼。体がとろける〜 「あら〜ん、ごしゅじんさま、こんなとこでそんな格好してると襲われるわよ〜ん?」 「げぇ!貂蝉っ!」 「いきなり酷いわねぇ。折角労いのお酒を届けに来てあげたのに〜」 「あ、ああ、ありがとう。そしてさようなら」 「いや〜ん、そんなつれないところもス・テ・キ」 くねくねと動き回る生物を無視して踵を返す 「労い、ねぇ。大丈夫なんだろうかこれ?」 部屋に戻りながら渡された箱に注意を向ける。まあ大丈夫・・・・・・だよな? 「ただいまっと。華雄はまだ寝てたか」 起こさないように静かに部屋に入り、落ち着いた所で箱を開ける 「そういや、華雄が内政出来るとか結構以外だったよなぁ・・・ん?なんだこれ?光栄三国志]?」 統率 武力 知力 政治 魅力 関羽 96 97 76 64 93 張飛 86 98 33 22 44 諸葛亮 93 37 100 98 92 趙雲 91 96 75 65 81 馬超 89 96 43 23 82 黄忠 86 94 66 58 74 呂布 95 100 26 13 32 華雄 81 93 52 39 57 公孫賛 85 84 67 66 79 番外 劉備 78 72 73 78 99 「・・・・・・以外、なんだなぁ・・・・・・」 「zzz」 なんでこんなもの入っていたのか?そう疑問に思ったのは一度休み、脳がまともに動くようになってからだった 詠のあの日の翌日 「おはよぅ〜。ん?この雰囲気は」 「・・・・・・・・・・・」 部屋の片隅で伯珪が落ち込んでいる。最近慣れてしまったなぁ、こんな状況に 「またか・・・まあ、昨日は大騒ぎだったからなぁ。あたた、まだ少し痛むや」 昨日の大騒動を思い出しながら頭を抱える。うー、まだ少し痛いっす 「あ〜る〜じ〜ど〜の〜」 恨めしげな声をあげながら突然現れた華雄 「うぉわ!?か、華雄か、どうしたんだ?そんな幽霊みたいな現れ方して」 「昨日の騒ぎはやはり主殿が原因だったのだな。私の平穏な一日をよくも・・・」 チャキ 「わー、まてまて。説明を、説明を求むー!」 「昨日の大騒ぎの後始末、私一人で片付けた、とおっしゃればわかって頂けますか?」 「ハイ、ジュウブンワカリマシタ」 でも、殆ど兵のみんなが頑張ってくれていたんじゃあ・・・ 「それで、何は言い残すことは?」 「まてまてまてまて!誤解だ誤解!俺も巻き込まれた側だってば!!」 「・・・・・・いいでしょう「ほっ、助かっt」貸し1です「げ」」 華雄の貸しはコワイ。以前は縄と油で、いやもう思い出したくも無いあんなこと・・・・・・ 「所で珍しく伯珪が落ち込んでるんだが何があった?・・・昨日の被害報告には来てなかったはずなんだが」 「まあ、言えないだろうな」 「何があったか聞いても?」 「ふむ、まあ主殿だけになら。2人で遠乗りに出た時、少し休もうと小川に向かって」 「ふむふむ」 「川について、馬から降りようとした時、伯珪の馬が止まらずに川に入ろうとしたので伯珪が体勢崩して投げ出され」 「それはまた・・・」 「起き上がろうとした所をそのまま踏まれていって」 「げ、自分の愛馬にそれやられるのは辛いな」 「うむ。白馬将軍と呼ばれるほど馬術に長け、馬を愛しているのにその仕打ち、落ち込むのも仕方ないな」 「ところで、昨日詠に会ったか?」 「詠?ああ、伯珪と遠乗りに行くということを話したが、それが何か?」 「いや、それがな・・・」 ―説明中― 「そんな事が・・・となると昨日のあれはやはりその影響なのか」 「多分ね・・・」 「ん?だが私はそれほど不幸を受けてないような気が・・・・・・」 「そうか?後片付け一人だけとか結構きつい不幸な気するが」 「確かに、言われてみればそうかもしれないが・・・最近似たようなことが良くあるからな、辛いとは思うが不幸とは思えん」 「・・・・・・不憫な(ホロリ)」 曹魏侵攻戦 城の一室で華雄と伯珪が軍事編成の書簡を片付けている いよいよ迫った曹魏との戦い、華雄は大将、伯珪はその副将として編成されていた 「よし、これで大丈夫だ。そっちは?」 「ああ、こっちも今終わった。しかし、これほどまで手配に手間がかかるとは。やはり重歩兵は慣れぬな」 「ははは。手間がかかったのはこっちも同じだけどね。やっぱり袁紹との戦いで馬が減ったのが痛いな」 戦術上重歩兵によって敵の攻撃を受け止め、勢いが落ちたところを歩兵で叩く しかし華雄は歩兵による突撃を得意とするが重歩兵による防御はあまり得意ではないためこういった機会は少なく、慣れぬ作業をこなしていた 伯珪はその2つ名に相応しく騎馬での戦いを得意とするが、現在の北郷軍には騎馬隊は2つある。伯珪率いる白馬陣と翠率いる涼州騎馬軍だ 騎馬兵はあまり補充が出来ない上に2つの部隊に分散する、となるとなかなか上手く補充は出来ない 「騎兵、か。朱里殿が今回の戦い次第でお前か翠の所か、どちらかの騎兵隊を強化するつもりのようだぞ?」 「ほんとか!?よぉし、皆に私の武を見せてやる!」 「張り切るのはいいが、猪にはなるなよ?」 「あはは、流石にそこまではしないさ、攻城戦だし。それに、そういうあんたこそ先鋒じゃなくてもいいのかい?」 「本当は先鋒になりたかったが、なんとなく今回はあの2人に譲った方がいい予感がしてな」 「ふ〜ん。ま、その予感が当たることを祈っておくよ?」 「ふ。私の武の前に意気喪失するなよ?」 「「はははははは!」」 「所で、そんなに騎兵増やしたいのなら主殿に頼めばいいのではないか?」 2人で茶を啜りながらの休憩中、華雄がそんなことを言い出した 「それは勿論頼んであるよ。でも私だけ、って訳にはいかないさ。ここの内情は理解してるから」 「何、主殿の懐から出してもらえばいいのさ」 「懐からって、あいつの財布は愛紗が握っているだろう?」 「その難関を越えてでも出してやる、という気概を引き出せばいいのさ。例えば・・・・・・ふむ、これとかどうだ?」 部屋をあさり何かの本を取り出して伯珪に見せる 「な、こ、これは・・・・・い、いいかもしれない・・・はっ!ダメだダメだ!!」 「ではこれは?」 「え?・・・あ、こっちのほうがいいかも、ってダメに決まってるだろ!というか、なんでこんなもの持ってるんだよ!」 「なんで、と言われてもな。朱里殿から貰った教本の一部、としか。これなら大丈夫か?」 「教本って、何教わってるんだよ・・・・・・んー、さっきのほうがまだ」 こうして夜は更けていった 「ふん、この程度の敵なぞ恐れるに足らず!全軍前進!我らが武の力、天下に示せ!!」 「「「「「おおおおおぉぉ!!!!」」」」」 「弓を射よ!槍を突け!剣を振るえ!一気呵成に攻め立てよ!後曲に出番を与えるな!!」 空を覆う矢の雨、槍と槍、剣と剣による鬩ぎ合い、怒号と断末魔によって奏でられた狂想曲 辺りは斬られた体の一部、流れ出た血、既に帰らぬ者となった肉塊によって彩られる地獄絵図 そんな狂気な地でなんら臆することなく敵を屠る気丈な将 既に優劣は決した。もはや将の出番はない。前進する兵を見送り、周囲の状況を確認する 「脆いな、これが曹魏の兵か。これならば策等いらなかったかもしれん」 「あっさりしすぎだね。こりゃ策どころか私んとこの出番もない、なんてことに?」 「ちゃんと出て貰うからそう心配するな。っと、伝令が来たか」 「伝令!超飛隊、敵本陣に取り付きました!華雄隊、公孫賛隊はこのまま前進、敵右翼を分断せよ、と」 「わかった。伯珪、頼めるな?」 「勿論!公孫賛隊出るよ!」 未だ敵陣は動揺している。恐らく、この攻撃により敵は孤立し、壊滅するだろう 「随分待たせたな、これより我が隊は敵に突撃する!我が騎馬隊の力を思い知らせてやれ!!」 「「「「「おおおおおぉぉぉ!!!!」」」」」 「くらえ!これぞ白馬陣!!」 激しい勢いで攻め立てる。敵陣を突破し、再び背後から強襲する 騎馬隊によって空けられた空間へ楔を打ち込むように歩兵が進軍する。このまま攻めればすぐに敵は分断され、壊滅するだろう が、後一歩という所で敵陣が息を吹き返した 「ち、援軍が来たか」 「どうやら夏候惇のお出ましのようだ」 敵陣突破中に見かけた将の名を告げる伯珪 「夏候惇、か。伯珪、兵の指揮を任せてもいいか?」 「そりゃあ構わないけど、まさか突っ込む気?」 「ああ、頚を取ってくる。その隙に分断殲滅させといてくれ」 「やれやれ。あんたが頚になるんじゃないよ!」 「ありえん!」 「季衣の奴、一人で大丈夫かな・・・」 息を吹き返したとはいえ魏軍の不利は変わらず、夏候惇の周囲にはあまり兵がいなかった 「此処まで来て人の心配とは、随分な余裕だな」 「何!?・・・華雄か。生きていたのか・・・」 意外な者に出会い、驚きに目を見張る夏候惇 「ふっ、水関以来か。ああ、主と国に恵まれてな。こうして名を馳せる機会も貰えたよ」 「敗残の将が偉そうな口を。その頚、落とされたくなければ逃げるがいい」 「ほう。盲夏候は只の猪武者かと思ったが、なるほど、人並みには弁が立つのか」 敗戦経験と朱里による戦術指南によりもはや華雄は董卓軍時代の猪武者ではなく、一角の将へと成長していた 「貴様!その名で私を呼ぶなー!!」 「この程度の挑発に乗るとは愚かな、冷静さを欠けばすぐに死ぬというに・・・・・・あれ、あの時の私、実は死ぬとこだったかもしれない?」 故に戦場で冷静さを欠くことがどれほど危険かもわかり、そして過去を思い出して身震いする 「何をごちゃごちゃと!我が魏武の大剣、その身に受けるがいい!!」 「くっ、なかなかやるな!だが、甘い!!」 夏候惇の鋭い一撃をあっさりと受け、その後の追撃も軽く弾いてしまう 「何っ!?」 「我が武の力に仰天せよ!!」 咆哮と金属音、そして大剣が弾き飛ばされ地面に突き刺さる 「しまっ!」 「これで終わりだ!!」 もはや夏候惇に防ぐ術はない。華雄の一撃により胴を斬られ、夥しい血が辺りに飛び散る 「ぐっ、夏候惇・・・将軍、どうか・・・ご無事・・・・・・で・・・・・・・・・」 夏候惇の前に兵が飛び込み、彼は身命に変えても将を守る、という大役を果たした 「う、すまん、お前のお陰で助かったぞ」 「ちっ、邪魔が入ったか」 華雄がその兵から戦斧を引き抜く間に夏候惇が地に刺さっていた大剣を引き抜き、再び対峙する。そこへ 「援軍だ!援軍がきたぞっ!!」 「くっ、秋蘭が間に合ってくれたか。この勝負、預けておくぞ華雄!」 「逃げるか!その頚置いていけ夏候惇!!」 「将軍!ここは我々に任せてお下がりください!」 夏候惇を追う華雄。だがその前にはいつの間にか現れていた兵達が殿として時間を稼ぐ 「ちぃ、雑兵が、私の邪魔をするなー!!」 戦斧を振り回し、殿の兵士を薙ぎ倒していく。だが全ての兵を蹴散らした頃には既に夏候惇は見えなくなっていた 「華雄!後退の合図だ!一度下がるぞ!」 「分かっている!後一歩の所を!!伯珪、この借りは後で夕食一品で返して貰うぞ!」 いらつき、良く分からない理由で伯珪に当たる 「私が悪かったのか!?」 「そういえばさ、その剣、どうしたの?」 今更ながら伯珪は華雄が見覚えのない2振りの剣を帯剣していた事に気が付く 彼女の得物は戦斧であるから剣を新調する必要はないように思うが・・・ 「ああ、これか。これは主殿が自分用に作らせたらしい剣でな、雌雄一対の剣というそうだ」 「ふぅん。北郷の奴、前出る気だったのかな?それにしても、良く貰えたね?愛紗とかが騒ぎそうだけど」 「いや、「これを上げるから貸し1勘弁してください」と土下座されて」 「・・・・・・・・・・・」 「思った以上に業物でな。武人としてはかなり嬉しいものだ」 「そっか、良かったな華雄(夕食一品で済んで助かった、と思うべき?)」 華蝶仮面初邂逅その後 「これはですね、ここをこうして・・・」 「ふむふむ。これをこう、か。なるほどな。こっちは?」 「これは、んっと」 「朱里!事件だ!すぐに軍議を・・・」 華雄が朱里に師事している途中、少々荒れ気味な愛紗が部屋に入ってくる 「はわわわ、あ、愛紗さん!?な、何が起きたんですか?」 「ああ、街で華蝶仮面なる不審者が現れてな。つかぬことを聞くが、華雄はずっとここに?」 「ん?私はここで朱里殿と勉学に勤しんでいたが?」 「そうか、失礼した。いや、お前の名とその蝶をあしらった服装でもしや、と思ってな」 「蝶をあしらった服装であればお前も星も着ているだろうに」 「私はあのような馬鹿な真似はしない!」 「そうかい。それはそれとして、そいつは強いのか?」 「・・・ああ。私と鈴々、翠の3人掛りでも押されていた。ご主人様の助言が無ければ危なかっただろうな」 「ほう、それほどまで。よし、ではその華蝶仮面とやらは私が倒してこようではないか」 「くそっ、華蝶仮面め!我が武を愚弄するなぞ、次こそあの頚落としてくれるわ!!」 「あー、伯珪。今日はどうしたんだ?」 「ああ、今朝いきなりやってきて華蝶仮面なる賊を倒しに行くぞ、と言われて無理やり連れて行かれたんだ」 「賊・・・・・・それで、負けたのか?」 「うん、まあ。去り際に随分と罵倒されてね、それでああなったんだ」 「そうか・・・最近切れる事がなかったけど、よっぽどの事言われたんだろうなぁ・・・」 「所で北郷、あの華蝶仮面ってせ「それ以上言ってやるな。それが武士の情けというものだ」そ、そうか」 八陣図内の攻防 「はらへった・・・」 「咽乾いた・・・」 「・・・疲れた・・・」 突然ですが北郷一刀、異世界にて遭難中です 事の起こりは数日前、朱里の提案から始まった 「ご主人様、対呉防衛用に防御陣を作成しようと思うのですが、いいでしょうか?」 「対呉?・・・そうか、今度の魏との決戦に横槍入れられないように、か」 「はい。孫権さんの性格からこちらに侵攻してくることは無いと思うのですが、あの白装束の動きが気になるので」 「魏への奇襲もあいつらに台無しにされたみたいだしな。分かった、防御陣の構築は任せる。ただ出来ればあちらにあまり刺激を与えないでくれよ?」 「はい!お任せください!」 それから数日、華雄と伯珪と朝食後の茶を飲んでいた所に朱里がやってきた 「ご主人様!対呉防衛陣、完成しました!」 「対呉防衛陣?」 「ああ、曹魏との決戦に保険を、と思って」 「ふ〜ん、保険ねぇ。この間の白装束とかいう奴等の対策か」 BINGO。流石我が軍の知力4位 「奴等への対策なら主殿の護衛だけで済むのではないか?孫呉の兵等恐れるに足りん。あの程度ならいつでも倒せる」 水間での戦いを思い出しながら孫呉の兵を貶す華雄 「いや、流石にあの頃のまま、ってことはないと思うのですよ?」 見た感じ孫権は堅実らしさを持ってたからなぁ、時間もあったし戦うことになったら厄介になるとは思うが・・・ 「そうか?曹魏の兵は左程変わりない弱さだったが・・・まあ主殿が言うのなら警戒しておこう。無駄かもしれんが」 「相変わらず強気で豪胆な・・・それで、どんな感じの陣になったんだ?」 「はい、呉をあまり刺激しないように、との事なのでちょっとしたからくりを使いました」 えっへん、といわんばかりに胸を張る朱里。最近軍師らしくない、と嘆いていたからなぁ・・・ 「からくりかぁ、朱里ちゃん、どんなのか見に行ってもいい?」 「はい、構いませんよ。ご主人様も来て頂けますか?」 「おう、見にいくよ。ちょっと愛紗に言ってくる」 「では私も行こう」 「到着しました!」 「こんな所に道があったのか・・・」 朱里に連れられてやってきたのは呉領に接する山の中。普通なら迂回するが秘密裏の奇襲になら行軍可能、といった所か 「だが、それらしいものは何も無いが?」 華雄の疑問は尤もだ。辺りに陣らしい陣は見えない。洞窟の入り口っぽいのが見えるくらい? 「はい。からくりを作動させない限りは普通の山道なんです」 「ふ〜ん、これじゃあここに防衛陣があるなんて誰も思わないね。あ、これなんだろ・・・」 伯珪が山肌にあるちょっとしたでっぱりに興味を持ち近づいていく。確かにあれは気になるな 「えっへん!これは八陣図と言ってですね」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ 「「「「え?」」」」 山が振動した、と思った。揺れが激しくなり、立っていられなくなったとき、俺と朱里の間の地面から岩が生えてきた 「きゃっ!」「うぉ!?」 ・・・・・・・・・・・・ 揺れが収まり、辺りを見回す。唖然としている華雄に焦っている伯珪が見える。だが朱里の姿が見えない 「っ、朱里、無事か!?」 「だ、大丈夫です〜。ご主人様達は大丈夫ですか?」 ほっ、どうやら大丈夫のようだ 「ああ、大丈夫だ。それで、どうやって出ればいいかな?」 「・・・・・・一度作動したら出口に着く事で元通りになるってからくりなんです・・・」 「げっ、ってことは・・・」 「はい・・・後は愛紗さん達に来てもらってここを崩すかしか。ごめんなさい」 ってことは自力で脱出するしかないか 「おっけ、こっちはこっちでなんとか出口向かってみるよ」 「はい・・・・・・出口への道順ですが・・・・・・」 「おっけー、覚えた。多分大丈夫だとは思うけど、万が一今日中に戻れなかったら愛紗達に助けてくれるよう伝えてくれるかな?」 「はい、分かりました。ご主人様、華雄さん、伯珪さん、どうかご無事で」 「ふ、私がこのような所で果てるものか」 「だいじょーぶだいじょーぶ、すぐに脱出出来るって」 この事態を引き起こした奴が言う台詞か?と小一時間問い詰めたい・・・ 「さて、んじゃいきますか」 観光気分で八陣内に入る俺達。まだ昼前だし、夜には帰れるだろう ところがどっこい、2時間くらい進んだ辺りで道に迷いました 似た様な地形多いし通った道の印付け忘れたし、遭難確定ですよハハハ 「はらへった・・・」 「咽乾いた・・・」 「・・・疲れた・・・」 茶を飲んでいた俺は腹が減り、茶菓子を食べていた伯珪は咽が渇き、愛紗達と稽古をしていた華雄は疲労が激しい それでも出口を求めて彷徨い歩くこと数時間・・・・・・ 「はぁ、少しこの辺りで休もう。疲れたまま動くのはまずい」 「そうだな。少し体を休めてから出口を探そう」 「み、みず〜」 流石の華雄も息は荒く、伯珪も倒れかけている 比較的涼しい岩場に腰を下ろし体を休める (あー、やば。昨日遅くまで政務やってたからなぁ、眠気が・・・・・・) 目を覚ますとそこは見慣れた町並み。背後には5人の完全武装の男達。どうやら警邏の途中みたいだ (ああ、これは夢か。俺達はまだ迷ってるはずだしなぁ。お、あの桃旨そう・・・) これは夢で、ここで食べても現実には変わりない。そう理解していても食べたくなるのが人の性 桃を売っている店まで歩く。途中、いきなり曲がり角から人がやってきた 慌てて避けようとしたが避けきれずバランス崩して転んでしまった 「あいたたた」 「あわわわわ、ご、ごめんなさいごめんなさい!」 見上げれば愛紗よりやや年上くらいの女性が少し怯えながら謝っている。まあ後ろがあれなら誰でも怯えるよなぁ・・・ 「あー、怪我もなかったし、全然平気。君こそ怪我はない?」 「あぅ、はい、私は大丈夫です。少し急いでいたもので、本当にごめんなさい」 「いやいや、気にしなくてもいいよ。こっちこそ急ぎの用を邪魔してごめんね?」 「あぅ!いえ、気にしないでください。自分でも少しはしゃぎすぎていたって思いますし・・・」 「ふーん、何か良い事あったんだ?」 「あ、はい!自分でも良く出来たと思った物が会心の出来だ!って皆に褒められて。えへへ」 凄い嬉しそうに話してくれるからついつい俺まで嬉しそうになった。ああ、これこそまさに現実逃避の境地か・・・ 「そうなんだ。おめでとう」 途端に顔を真っ赤にして慌てだす女性 「あぅぅ、ああありがとうございます。は母が待っているのでし失礼しますー!」 そう言ってあっという間に立ち去る女性。う〜ん、綺麗だったなぁ・・・・・・ 「お、太守様も玄ちゃんの美貌に骨抜きにされましたか。これは関羽将軍に密告しなければ・・・」 いきなり現れた商人がトンデモナイ事を言う 「わーわー!骨抜きになってないしそんな危ないこといわないでー!」 ただでさえちょくちょく愛紗の目を盗んで街に来てるのに! そんなこと言われたら「そんな不埒な事のために街へ出ているのですか!?」とか怒られ外出禁止令が出てしまう! 「流石の太守様も関羽将軍には形無しですなぁ。はっはっは!」 「酷いぜおっちゃん・・・」 「まあまあ、耳寄りな情報を教えますからご勘弁を」 「耳寄りな情報?」 「ええ。玄ちゃんは元々黄巾の乱の時に公孫賛将軍に仕官したのですが、母が病にかかったと聞き出奔して戻ってきたのですよ」 「へ〜、親孝行なんだな」 「ですから、太守様が玄ちゃんの母の病気を治す、と言って治療して差し上げればきっとうまくいくはずですよ、はい」 「なるほど。確かにあの子は美人だし紫苑さん並みの色気と胸が、ってそうじゃないだろー!!」 フヒヒ、サーセンといいながら去っていく商人。どこでんなこと知ったんだよ・・・ 「ったく。でも、伯珪の元部下か。後で聞いてみるかな?有能そうなら是非仲間になって貰いたいし」 「ん、んぁ、うぅ、は、伯珪、んくっ、主殿が目を覚まし、んぁあ たからもうやめ、はぅ」 「んちゅ、ちゅる、むちゅ、ぺろ、はむ・・・」 目が覚めたらそこは桃源郷だった・・・ 「って何をしてるんだお前等ー!!」 伯珪が座り込んだ華雄に圧し掛かり、裸に剥いて体中を舐めている 疲労によって抵抗できないのか、快楽に押されて抵抗しなかったのかは定かではない が、体中舐められた事でエロイ光沢がっ!伯珪も伯珪でこっちにお尻を突き出す格好になっていて・・・ 「あぁ、あ、主殿、あふ、伯珪を押さえてくだsふぁっ!」 さらにこんな艶声を聞かせられて我慢出来るとでも?いや、出来まい! 「と言うわけで俺も混ぜたまへ伯珪君」 「はむ、んちゅ、んん?ああ、一刀〜」 俺の声が聞こえ顔をあげる伯珪。胸元はだけ、色っぽい雰囲気を醸し出しているが目がやばい 俺を認識した途端標的をこちらに移し、飛び掛ってきた 「うぉ、ちょ、伯珪?」 「あふ、はぁ、はぁ、た、助かった?」 「一刀・・・ん、はむ、ちゅく、んぷ、ちゅ」 抱きつかれキスと共に舌が入れられる 「ん、ちゅる、んむ、ぷはっ。伯珪?大丈夫なのか?」 「んんぅ、ずるい・・・」 「え?」 「一刀、みんなとはこうやってしてるのに、私だけずっと置いてきぼり・・・何度か誘ってもすぐに逃げちゃう・・・・・・」 「う、いや、それは」 ほんとに冗談かと思ったり、てか誘われていたんだ俺・・・・・・ 「私だって、一刀の事好きだもん・・・こうなりたいって、思ってたんだから・・・」 「伯珪・・・・・・」 「一刀・・・・・・」 お互いの顔を見て再びキス 気が付かなかった、とはいえ今まで悲しませてしまったんだ、ちゃんと答えてやらないと・・・ 「完全に2人の空間だな・・・・・・・・・・・・」 思いを交わし、繋がりを求める2人 既に伯珪の秘所は濡れ、一刀のモノを受け入れる準備は出来ている 「あ、押し倒されたな・・・・・・」 一刀が押し倒され、伯珪が覆いかぶさる 喪失の痛みに耐えながらも愛する人と結ばれた事で幸せを感じる為か、苦悶の表情はすぐに消え、快楽に顔を歪める 「ん?これは水?この岩肌から滲み出ているのか・・・」 騎乗位で最初は一刀のみがゆっくりと、そして徐々に腰使いが早くなり、伯珪が嬌声を上げ始める 「そういえばあれから少し前、伯珪がこの辺りに何かしていたな・・・・・・」 一際大きい嬌声と共に伯珪の体は跳ね、涎を垂らし光悦とした表情で余韻を楽しんでいる だが、これで後年「鎮黄(ちんこう)の使い」として名を馳せる彼が終わるものか?それはありえない 伯珪にキスをし、意識が戻ってくるのを確認してから再び動き始める 「ふむ、突然ああなったのはこれが原因か?・・・少し持ち帰って調べてみるか」 先ほどと違い、痛みはなく最初から快楽が襲い掛かってくる あまりの快楽に、そしてずっと肌で感じている幸福感と共に再び絶頂、気を失ってしまう 「まあこれくらいで十分だろう。ん?何か当たっていひゃぅ!」 伯珪が至福の一時を向かえ、気絶してしまい続けることが出来なくなった しかし一刀がそれで満足できるはずはなく、近くで裸のまま岩肌に手をつき、腰を振っている華雄に襲い掛かるのは自明の理 「あ、主殿、ここはダメで、あぁぁぁぁ!す、すこしはなれ、ひゃぅ」 流石にこの奇妙な液体の近くで行うのは戸惑われるのか、そこから離れた岩肌に手を付かせ、後ろから突き入れる そのまま腰を動かし、お世辞にも豊かとは言えない乳房を愛撫し、責め続ける 「んぅ、はげし、ふあぁ、もう、だめ、あ、ああああぁぁぁぁぁぁ!」 絶頂し、崩れ落ちる華雄。疲労と快楽とでもはや立ち上がることが出来ないでいる 一刀も華雄の中で射精し、余韻に浸っていた時、目を覚ました伯珪が一刀に近づき、モノを取り出して舐め始める 一瞬にして次弾装填されたモノを伯珪に入れようと覆いかかる、が反対に寝転がされ再び騎乗位となった 「はぁぁ、主殿、もっとぉ・・・」 ふらふらと起き上がり這いずりながら一刀に近づく華雄 そして一刀の顔の上にまたがり、腰を下ろして伯珪と抱き合い、お互いの唇を啄みながら胸を愛撫する 「ふふ、夜はまだ長いですよ主殿・・・」 「うう、腰が痛い・・・」 「まったく、だらしがないぞ、あれくらいで」 散々搾り取られ、最後の方は赤玉出かけたのにあれくらい、ですか・・・ 「まあそう言ってやるな伯珪。お前だってお前だって漸く思いを果たせて本望だろう?」 「うん、まあそれはそうなんだけどね。でも気持ちよかったし、まだまだしたかったなぁ・・・」 ひぃ!また搾り取られる!? 「一度気絶した奴が何を言うか。ほら、主殿が怯えてるぞ」 「え?あ、あははー、ごめんごめん。嬉しいのと気持ちいいのでさ、全然止まらなくなっちゃって。あはははは」 俺のことを好いてくれるのは嬉しいし、男としてこういうことは好きだ でも限界まで搾り取られるのは勘弁して欲しいな・・・・・・ 「お、川の音がする。出口が近いかな?」 「ふむ・・・多分これだな。動かすぞ」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ 「お〜、外だ外だ〜。川も見えるし、水浴びしてから帰ろうぜ」 「そうだな、一度体を洗う必要があるし」 「うぉ、まぶしっ」 ああ、太陽が黄色いぜ・・・・・・ 「で、人を散々心配させておいてなんですかこの甘い空気は。一刀、とは随分と親密になったのですね」 「あ、愛紗。お、落ち着きたまえ、これには海よりふかーい事情が・・・」 「問答無用!!!」 「ぎゃーーーーーーー!!!!」 洛陽5人衆 今日も今日とて書類と格闘、なんとか一段落したので気分転換にと外へ散歩しに来た 孫呉と同盟し、あと少しで曹魏との決戦が待っている 兵糧や兵の補充の確認、制圧地の住民を混乱させない政策等、忙しそうではあるがほぼ確認だけなので楽といえば楽だ だからいつもならこっそり抜け出している時間に堂々と散歩出来る。うむ、よいぞよいぞ 「お、ご主人様やん。何してんの?」 「ん?ああ、霞か。いや、書類が一段落したからちょいと散歩。霞はまた日向ぼっこ?」 「そや、昨日愛紗に怒られて当面城で大人しくしていろー言われてな。だから暇なんや」 あー、真名で呼ぶの許した途端暴走してたからなぁ、愛紗が怒るのも無理はない、のかな? 「主殿、恋がどこにいるのか知りませ、む?張遼か」 「ああー!華雄っち!あんた、ほんまに生きてたんやなぁ・・・」 俺に尋ねようとやってきた華雄を見た霞が騒ぎ出す。生きていたも何も戦場で戦ってなかったっけ? 「失礼な、人を勝手に殺すな。第一、先日の戦場で戦っていただろう」 「あー、すまん。ウチ愛紗の事しか見てなかったわ」 「・・・・・・相変わらずお気楽な。まあいい、主殿、恋がどこにいるか知りませんか?」 「恋?うーん、今外でたばっかだから、いつもの場所にいないなら分からないや」 「そうですか。まったく、あいつは何処にいったんだ・・・」 恋の愚痴を呟きながら離れる華雄 「恋?もしかして呂布ちんのこと?」 「呂布ちんって・・・まあその通りだけど。あの2人、時々手合わせしてるみたいだよ?」 「へ〜、呂布ちんも無事だったんか。そだ、呂布ちんに会わせてくれへん?良いこと教えてあげるから」 「それくらいなら問題ないよ。別に交換条件なんて出さなくても」 「そか?ならこれから呂布ちんを探しに行ってみるわ」 「おう、頑張れよー」 霞を見送り散歩を続ける。そしてふとある事を思い出す 「そういえば・・・・・・ふむ、後で探してみるか」 一度部屋に戻り、今日の分の書類を片付けた後茶の準備を頼み、霞達を探しに庭へ出る 丁度3人揃っているといいんだけど・・・ 「お、いたいた。華雄ー、恋ー、霞ー」 「お、ご主人様やん。どうしたの?」 「ん、一所に茶でも、と思って呼びに来たんだ。2人は稽古中?」 霞の座っている所から少し離れた場所で華雄と恋が戦っている 「そや。ところで、酒も出るんか?」 「酒は流石にないって。まあ旨い茶と茶菓子なら・・・」 茶菓子、と言った途端聞こえた激しい金属音と苦悶の声、そして何かが地面に突き刺さった音 「・・・お菓子食べる」 いつの間にか目の前にやってきていた恋が袖を引っ張っている 「恋ちん、いつの間に・・・」 「あ、あはは、あはははは・・・・・・orz」 あ、落ち込んでる。うん、最初は反応に困っていたけど、なんだか最近は華雄の落ち込み見てると和むなぁ。もしかして俺って外道? 「・・・早く」 「あ、ちょっとまってくれ恋。おーい、いつものとこにいるからなー、早めにこないと華雄の分なくなるぞ〜」 恋に急かされ霞と共にいつもの場所へ。はてさて、あの2人もちゃんと待っていてくれるかな? 「遅い!人をお茶に誘っておいて用意を任せっきりにした挙句待たせるとはどういう了見よ!?」 「でも詠ちゃん、楽しそうに用意していたよ?」 「え?そ、そんなことないわよっ。きっと月の見間違いだわ」 用意して貰った場所に辿り着き出迎えてくれたのはいつものように罵倒と照れ隠しをするツン子、もとい詠と月 そう、詠と月、華雄に恋に霞は元洛陽組。月に聞いた話だと全員仲が良かったらしい そこで!5人全員北郷軍に集まった記念、というわけではないが、こうして再開の場を作ってみたりしたのだ 「月ちゃんに詠っち!?・・・そっか、あんたら無事だったんか」 「霞ちゃん・・・無事でよかった。私達はあの後ご主人様に助けてもらったの」 「ええ。貴方達のお陰であいつらから逃げて、その後こいつに捕まって現在に至るって訳」 「捕まってって、おいおい・・・」 感動の再開、という場面でも罵倒を忘れないその精神、流石だ詠 「まあそういう訳だから、この2人の事は当面真名で呼んでくれ。元々仲良かったらしいし大丈夫だろ?」 「いや、それは大丈夫やけど・・・なんちゅーか、ほんま器の広いやっちゃな」 少し呆れながら呟く霞。褒められてるのか貶されてるのかわからん・・・・・・ 「モグモグ」 って早速食べ始めていますよ我が家の恋さんは 「はい、お茶です恋ちゃん。美味しいかな?」 「モグモグ・・・(コクッ)」 「良かったぁ・・・」 「月が作ったお菓子が美味しくないなんてありえないよ」 「へ〜、これは月ちゃんが作ったんか。ほな、頂くわ」 それを合図にみんな席に座って食べ始める 「うん、旨い。相変わらず茶も旨いが茶菓子も旨い」 「せやせや。これなら立派なお嫁さんになれるで〜」 「あうぅぅ、あ、ありがとうご主人様、霞ちゃん」 まだ来ていない華雄の分をとっておいて5人で分けて食べる。まあ恋が一番食べるわけだが・・・ 「こーしてのんびり茶ぁ飲むのも久しぶりやなぁ」 「ん?魏にいたときはのんびりできなかったのか?」 「いや、のんびりできなかったって訳やないけど、ほら、あの国は孟ちゃんラブー!な子ばかりやったから」 「あー・・・霞も結構気に入られてたから、そういったのが?」 「まあそんなとこ。それに、ウチは元々敗軍の将やったしね、ここほど周りの空気がよくなかったってのはある」 「大変だったんだな・・・まあ、ここではそんなこともないだろうし、気楽にやってくれ」 「そやな・・・なあ、ご主人様」 「ん?」 月と詠と恋が作り出しているのほほん空間の中とは思えないほど真剣にこちらを見つめる霞 「流石に孟ちゃんらと戦うのはいややけど、それ以外ならいつでもウチの力、使ってや」 「・・・ああ、ありがとうな、霞」 「うう、そこまで嬉しゅうされると、なんか恥ずかしーわ・・・ああ、こら恋ちん、それウチの分やー!」 照れ隠しなのか視線を彷徨わせ、こっそり霞の分を奪おうとした恋の手を見てそちらへ向かう 「ははは・・・やっぱり、こんな平和が一番だよなぁ」 うん、頑張ろう。曹魏との戦いが終わったら、今度はみんなでこんなお茶を楽しめるように その後華雄がやってきて6人でお茶を楽しんだ 月はずっと笑顔だったし、詠もいつもよりずっと素直だった 恋は相変わらず食べ物に夢中。でも話を振られてるとちゃんと答えてる 華雄と霞はこの戦いが終わったら星を巻き込んでの酒飲み競争を企画している 俺と詠が漫才もどきをし、月と霞が笑う 茶を少しこぼしてしまった恋の世話をする華雄。なんだか愛紗と鈴々を見ているみたいだ そんな微笑ましい風景を見ながら俺は足りなくなった湯や食べ物を調達しに行く 今ばかりは俺が雑用しよう。久々に出会い、笑い会えたあの子達に水を差すのは無粋だから・・・ 霞(統率94武力92知力77政治64魅力79)が仲間に加わった! 「そや、ご主人様、さっき言った良い事教えてあげるで」 「ん?ああ、そんなこと言ってたっけ。何々?」 すっかり忘れていたな 「実はな、恋ちんを登用したのは華雄っちなんよ」 「そうなのか?」 「な、霞!貴様何を言うつもりだ!」 「それでなー。あ、恋ちん、華雄っち抑えといてくれる?」 「・・・分かった」 「あ、こら恋離せ!」 流石に恋に羽交い絞めされてはいくら暴れても抜け出せないか 「・・・ダメ」 「な、何故霞の言うことは聞いて私の言うことは聞かん!ええい、離さんか!」 さりげなく恋の前に移動していた霞の茶菓子に気がつけ・・・ 「この者は見所があるって言って、登用した後も色々教えてあげてたんよ」 「ほうほう、それでそれで?」 「ところがある日の稽古でな、2人が模擬戦をした時n「霞ー!それ以上主殿に言うなー!!」もう、煩いやっちゃな。恋ちん、口も塞いどいて」 「・・・(コクッ)」 「ん!?んんんんんーー!!んんんんんんんーー!!!」 あ、少し涙目になってる 「で、模擬戦した時に一撃で負けてもうてな。それで恋ちんが将軍に取り立てられて、一時期立場が逆転していたことがあるんよ」 「へ〜。そんなことがあったんだ」 「ぷはっ、霞・・・よくも・・・・・・」 「あ、あれ?どうやって恋ちんから逃れたん?」 「ふ、冷静になれば恋に言うことを聞かせるのは容易い。ふふふふふ、さあ、覚悟するがいい霞!!!」 「ちょ、どっからその剣だしたん!?あ、あかんウチ武器持ってないんやで!?」 「問答無用!死ねぃ、張遼!!!」 「わ、わわわわー!いやや!こんな事で死ぬなんて認めへん!ウチは生きる!生きて愛紗と添い遂げるんやー!!」 「仲がいいですね、霞さんと華雄さん」 「・・・月の目にはあれがそう映るんだ・・・・・・」 「喧嘩するほど仲が良いってことかねぇ・・・」 「モグモグ?」 ざんねん!しあのぼうけんはここでおわってしまった! |